数万人に一人の病気 褐色細胞腫になったときの体験談

~通常なら数㎝の腫瘍は、なんと大人の頭サイズだった!~

【手術1週間前】家族でお出かけ 焼肉と公園を満喫

今回の記事では、手術1週間前に家族でお出かけした時のことを書きます。

私の誕生日祝いに家族で外食

手術の1週間前。この日はちょうど私の誕生日でした。あと1週間で「けっこう危険です」と先生からも言われている手術。これだけ気分が晴れない誕生日も、初めてかもしれません。

それはともかくとして、誕生日のお祝いに、そして手術前の景気づけの意味も込めて、外食に行くことにしました。前から行ってみたかった焼肉屋で昼食を取り、それから近くの大きな公園で遊ぶプランです。

縁起でもないので口には出しませんでしたが、万が一があった時の思い出作りの意味もありました。

焼肉屋で昼間から飲む酒は最高!

さすが人気の焼肉屋。休日とはいえ昼間から家族連れでいっぱい。コロナ禍で自粛? なにそれ? 予約しておいて正解です。

この焼肉屋は、タブレットで注文するお店。システムで効率化を実現したタイプの飲食店ですね。焼き台の上の換気扇も高性能で、肉を焼いてもぜんぜん煙たくならないし。焼肉屋は久しぶりでしたが、最近のはすごいんだな…

「私が車運転するから、お酒飲んでいいよ」と妻が言うので、飲み放題プランで。

タン塩を2枚まとめてぱくっ。肉の旨味を感じた後にビールをゴクッゴクッゴクッ、プハーッ。もう間違いないね、マジ神! 壷漬けカルビぱくっ。口に残った脂をハイボールで流すのが爽快! 昼間から焼肉屋で飲む酒は美味いっ!

ところで、3歳になる娘は肉があまり好きではありません。ハンバーグとか全然ダメです。食べられる肉はウインナーと鶏の唐揚げくらい。普段から献立を考えるのに苦労しています。

こういう店の肉なら食べてくれないかな、「肉うまい!」に目覚めてくれないかなと期待して連れてきたのですが、一口食べて「いらない」と言われる(泣) 娘は結局、ごはんとウインナー、フライドポテトに野菜サラダ(キュウリやレタスは食べる)などのサイドメニューに終始しました。

満面の笑みで大好きなポテトをほおばる娘を眺めていたら、ふと「手術は大丈夫だろうか…」という不安がよぎりました。

いかんいかん、せっかくの楽しい食事なんだから、そんなことを考えては…。この一時だけでいいから、手術のことは全部忘れさせてほしい。不安を払拭するように、勢いよく酒を流し込みました。

結局、昼から5杯も吞んでしまいました。

公園では娘の成長をリアルタイムで実感

焼肉を満喫した後は、近くにある大きな公園に行きました。大きな池や本格的な遊具がある公園です。私は酒を飲んだので、妻が車を運転。

休日ということもあって親子連れでいっぱいです。コロナ禍で自粛? なにそれ? 少なくとも子どもにとっては、不健康に家で閉じこもっているよりも、こうやって公園で元気に遊んで身体を鍛える方が、よっぽどコロナ対策になるのではないでしょうか。子どもに自粛なんてクソ喰らえだ!

ロープを網みたいに組んで橋にしてある遊具にやってきました。ロープを踏み外して落ちるのが怖いのか、3歳の娘は尻込みしています。

「こわいよ、おちちゃうよ」
「大丈夫、落ちないよ。教えてあげるからやってみな。まず右足をここだよ」

娘は、恐る恐る右足を踏み出します。

「いいよいいよー。次は左足をここだよ」

順調に前に進んでいきます。そのまま最後まで渡り切れました。

「もっかいやってみる!」

大丈夫だと分かったのか、娘はもう一度ロープ橋に挑戦します。2回目も上手にできました。3回目には、私が何も言わずとも一人でスムーズに渡ることができました。

「みてみて! ひとりでできるよ!」

昨日、いや、5分前までできなかったことが、どんどんできるようになっていく。子どもの成長は早いなぁと実感します。

こんな感じで、できることがどんどん増えていくんだろうな。こうやって、あっという間に大きくなっていくんだろうな。小学生になり、中学生になり、高校生になり…。どんな大人になるのだろうか。

命ある限り、この子の成長をそばで見守っていたい。万が一にも死ぬわけにはいかない。

そう思ったら、涙が出そうになりました。いかん、こんな所で泣いちゃダメだ…。

泣きそうなのを誤魔化すために、私はトイレに駆け込みました。

→次の話 手術前最後の外来 入院の説明を受ける そして驚きの提案が