入院や手術の費用はどのくらいかかった? 褐色細胞腫の治療
大きな病気になった時に心配なのが費用、つまり「お金がいくらかかるか?」です。今回私が経験した褐色細胞腫は数万人に一人といわれる珍しい病気、入院だけではなく大きな手術もしました。
では、合計でどのくらい費用がかかったのか。今回は、そのあたりの話をしたいと思います。
民間の保険に一切入っていなかった私
私は今回、褐色細胞腫で合計3回の入院をしました。
- A病院 救急外来を受診してそのまま入院、10日間。途中で月をまたいだ。いろいろ検査をして褐色細胞腫と確定。
- B大学病院(1回目) 18日間の検査入院。月またぎなし。
- B大学病院(2回目) 手術入院、12日。月またぎなし。
ちなみに私は、いわゆる民間の保険には入って(買って)いません。年末調整の時でも、保険料控除うんぬんの欄に記入したことは一度もないです。今回の病気で、民間の保険からの補填額はゼロ。あちゃー。
さて、この状況で私の「持ち出し」は約何円だったでしょうか? 次の4択からお答えください。
- 40万円
- 80万円
- 120万円
- 160万円
支払額を軽減してくれる高額療養費制度 健康保険の3割負担の例外
正解は「40万円」です。
えっ、これだけ入院やら手術やらして持ち出しが40万円だけ? 書き間違えてない? そう思っている方のためにもう一度書きます。
私の財布から飛んでいったのは、40万円です。おそらく、記事を読んでいる方全員が安すぎると思っているでしょうが、これにはカラクリがあります。健康保険の高額療養費制度というものを利用したからです。
みなさんも健康保険に加入しているはずですが、病院の窓口で支払う自己負担額は、原則として3割です。病院に行って各種医療行為で10万円かかったとしたら、自己負担は3万円で、残りの7万円は健康保険が支払ってくれる仕組みです。
しかし、これには例外があって、それが高額療養費制度です。医療費が100万円かかった時に、原則通りだと自己負担は30万円ですが、それだと支払いが大変です。そのため、自己負担軽減のために支払い上限額が定められており、たとえば支払いは30万円ではなく10万円でいいよ、という具合です。
今回の私の入院や手術、医療費の総額(10割計算)は400万円以上でした。原則通りの自己負担3割だと、120万円は支払わなければいけませんが、それが40万円ほどで済んだのが高額療養費制度の威力です。
高額療養費制度は「同一の月・同一の病院」で計算
この高額療養費制度、自己負担の上限額は「同一の月・同一の病院でカウントする」というルールになっています。私の例で説明すると、以下の通りです。
A病院に入院 →(入院したまま月またぎ)→A病院に入院継続
同一の病院ですが、前月と翌月で分けて自己負担額を計算。両月それぞれ9万円ずつだったので、合計18万円。
A病院を退院し、同一の月にB大学病院に検査入院
同一の月ですが、A病院とB大学病院は別なので、自己負担額は分けて計算。B大学病院で11万円。
そこから2ヶ月後にB大学病院へ手術入院
前回のB大学病院への入院とは別の月なので、分けて計算。11万円。
これで合計40万円です。
今回はA病院で月またぎをしてしまいましたが、もし月またぎがなかった場合は、A病院での支払いは9万円だけで済んでいました。
また、B大学病院でも、検査入院と手術入院が別の月になったため、自己負担上限額の計算が分かれました。が、もし検査+手術が同一の月内ですべて完了した場合は、11万円の支払いだけで済むわけです。
実はけっこうカバーが手厚い健康保険
簡単に高額療養費制度の説明をしました。今回私は非常に大きな病気をしましたが、民間の保険一切なしに40万円ほどの持ち出しだけで済んだのは、こういう制度があったからです。
このように、健康保険は実はけっこう手厚くカバーしてくれます。もちろん、この40万円の持ち出しが惜しかったり、40万円の貯金がなく支払えなかったりする人は、民間の保険に入って(買って)カバーする必要がありますけど。
ただ、個人的な感覚ですが、この高額療養費制度を知らずに、無駄に民間の保険に入っている人は少なくない気がします。
なお、この制度が使えるのは、健康保険の範囲内の医療行為だけです。健康保険が認めておらず、支払いが全額患者の自己負担となるもの(例・美容整形手術やレーシック)については、1000万円だろうが1億円だろうが支払わなければいけないので注意してください。