数万人に一人の病気 褐色細胞腫になったときの体験談

~通常なら数㎝の腫瘍は、なんと大人の頭サイズだった!~

褐色細胞腫を切除して体調は良くなった?

褐色細胞腫は、身体にいろいろな変調を引き起こす腫瘍です。切除してしまえば身体は正常に戻り、病気の苦しさから解放されます。

それでは手術後、私の身体は正常に戻ったのでしょうか? 体調はどう変化した? そのあたりについて記します。

お腹の感覚は特に変わらなかった

まずは物理的な話から。私の褐色細胞腫は、18㎝・2㎏のメガトン級でした。これだけの腫瘍を取り出せば、さぞかしお腹は軽くなっただろう。

そう思うかもしれませんが、正直言って、お腹の感覚は手術の前後で変わりませんでした。そもそも、巨大な腫瘍でお腹が圧迫されている感じが、最初から皆無だったので。

ちなみに、褐色細胞腫を摘出した後、その空間はどうなるかというと、他の臓器が進出して埋まるそうです。褐色細胞腫のあった場所が、ぽっかりと空洞になるわけではありません。先生いわく、「小腸や肝臓で埋まったはず」とのことでした。

寝つきがよくなりオシッコで目覚めることもなくなる

お腹の感覚は変わりませんでしたが、他の面は顕著に好転しました。

手術後、まず変化に気づいたのは、夜の睡眠です。とてもよく眠れるようになりました。以前は、寝つきがとても悪かったです。それが手術後は、布団で横になるとスッと眠りに入れるようになりました。

また、睡眠の質も改善しました。23時に布団に入ったら、6時までノンストップで寝ていられるようになったのです。手術前はどうだったかというと、夜中の2~3時にオシッコで目が覚めてしまうのが普通でした。

このあたりは医師から説明を受けなかったので私の推測ですが、褐色細胞腫は身体を戦闘態勢に導くカテコラミンを多量に出すので、身体がじゅうぶんな眠りに入れないのかもしれません。そのため、起きている時と同様、3時間くらいでトイレに行きたくなるのではないでしょうか。

それからもう一つ。こちらの記事で説明しましたが、褐色細胞腫の患者は、カテコラミンの影響で「全身の血管がキュッと締まった状態」になっています。

血管が細いとは、血管の容量が小さいわけで、体内を循環する血液量が少ないことを意味します。血液はその大部分が水分ですから、血液量が少ないということは、つまり体内の水分量が少ないわけです。

身体があまり水分を取り込めないので、摂取した水分がオシッコとして出やすいのでは。だから夜中にオシッコに行きたくなるのでは、というのが私の推測です。

とにかく手術後は、寝つきがいい・途中で目が覚めないと睡眠面が大幅に改善されました。

運動しても苦しくならない 身体が軽い!

傷の痛みが消えて、体調も万全に戻り、そろそろ運動してみようかなと思ったのは、手術から2ヶ月後でした。

実際に身体を動かして感動しました! 運動しても全然息が切れません。身体って、こんなに軽かったんだ! 羽でも生えたのか?

褐色細胞腫がお腹にあった時は、運動するとすぐに身体が重くなって苦しくなり、心臓がバクバク。もはや、そういうのは一切感じません。まるで10歳以上若返ったかのようです。

ちなみに、仕事に復帰して同僚からは、「前より明らかに顔色が良くなった」と言われました。

HbA1cも一気に下がった 糖尿病予備軍から正常へ

最後に、血液検査の数値をひとつ。

褐色細胞腫が引き起こす典型的症状が、糖尿病です。手術前、糖尿病の判定指標であるHbA1cという数値は、6.0あたりをウロウロ。まだ糖尿病とまではいえないものの、30代でこの数値は、立派な予備軍です。

褐色細胞腫の切除後、しばらくしてから血液検査をすると、HbA1cは5.5まで下がっていました。これは正常値です。やはり、褐色細胞腫が糖尿を引き起こしていたことになります。

わずかな期間でHbA1cが一気に0.5も下がって、身体に負担はかからないのか、と思うかもしれませんが、少なくとも私は特に変調を感じませんでした。

身体が楽になり生活の質が向上

  • 睡眠の質が向上した
  • 運動しても苦しくならない
  • 糖尿の気が消えた

褐色細胞腫を切除してからは、身体が本当に楽になり、生活の質が向上しました。逆に言うと、以前は身体にすごいマイナス要素を抱えながら、よく普通に過ごせていたなあと思います。

私の治療に携わってくださったすべての方には、本当に感謝しています。ありがとうございました<m(__)m>

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