数万人に一人の病気 褐色細胞腫になったときの体験談

~通常なら数㎝の腫瘍は、なんと大人の頭サイズだった!~

【A病院・入院3日目】副腎腫瘍と判明 そして一般病棟にお引っ越し

前回まであらすじ
救急外来にかかったところ、「肝臓に異常があるかも」と緊急入院になった私。身体の状態も落ち着き、いよいよ本格的な検査が始まったが…

「肝臓の異常」ではなく「副腎の腫瘍」と判明

腹部エコーやらMRIやらで検査をした翌日。入院3日目となる朝です。

今まで私のところを訪れたのは、救急外来で私を診てくれた先生と、心臓の先生の二人でしたが、新たな医師がやってきました。内分泌科だそうです。

(内分泌? なんだそりゃ?)

後で調べたところ、内分泌科とはホルモン関係の疾患を扱う科だそうです。

「最初に検査をしたときは、肝臓に異常があるという話でしたが」
「そうですね」
「検査をしたら、そうではないことがわかりまして…。副腎というところに腫瘍があります

腫瘍と聞かされても、正直「あ、そうなんだ」くらいにしか思わなかったのですが、先生の次の言葉でぶったまげます。

「この腫瘍なんですが、すごく大きくて16㎝ほどかと」
「16㎝!? そんなにデカいんですか!?」

これはさらに後で判明したことですが、この巨大な腫瘍さん、正確には18㎝。本来肝臓がある位置にまで進出し、肝臓を上に追いやっていました。そのせいで、最初のCTでは「肝臓に影がある」と思われたのでしょう。

「これだけ大きな腫瘍ですけど、何か自覚症状ありませんか? お腹に圧迫感があるとか」
「いや…。そういうの全然ないです」

はい、まったく自覚がありません。このサイズとなると、ここ1~2年で育ったものではないでしょう。もしかすると、あまりにも長い年月が経っているので、異常があるのが通常モードになってしまい、身体が馴染んでしまったのかもしれません。

「この腫瘍がどういうものか、もう少し詳しく調べる必要があるので、いろいろ検査をしなければいけません」
「わかりました。お願いします…」

以降は、この先生がA病院での私の主治医となりました。

HCUから一般病棟にお引っ越し

私が今いるのはHCU病棟ですが、入院3日目となる本日の午前中、一般病棟にお引っ越しになりました。私の病気は腫瘍だと判明しましたが、いますぐ生きるの死ぬのという緊急の話ではないようですから、HCUのベッドを占拠しておくのは良くないですね。

二日ほどお世話になったHCU病棟ともお別れ。車椅子に乗せられて一般病棟へ。私の荷物(替えの下着や大量の本)は、あとで看護師さんが台車で届けてくれました。

HCUは四人部屋でしたが、お引っ越し先の一般病棟も四人部屋。事前に看護師さんから、「個室と大部屋、希望はありますか?」と聞かれていましたが、「大部屋で」と答えました。私のような重篤ではない人間のために個室を潰すのは、病院に申し訳ないので。つーか個室だと料金も高いだろうし。

HCUは窓がなく、いかにも閉ざされた空間という雰囲気でしたが、一般病棟は大きな窓があって外がよく見えます。各部屋ごとに、洗面台とトイレが備え付けられていました。わざわざ廊下に出て、遠くのトイレまで行かずともよいわけです。歩くのが大変な人には優しい仕様ですね。

HCUは携帯電話の使用が全面禁止でしたが、一般病棟の病室では、通話はNGだがネットはOK。LINE・メールで、現在の状況を家族や職場に伝えることが可能になりました。

アイソトープ検査で腫瘍を調べる

11時くらいだったでしょうか。一般病棟に引っ越しが終わってすぐ、次の検査に呼ばれました。アイソトープ検査というものです。

アイソトープ検査。初めて聞く人も多いでしょう。

この検査は、ようは画像診断なのですが、まず、放射性物質を含む検査用薬剤(放射性医薬品)を注射します。その放射性医薬品は腫瘍に集まる性質があります。時間が経って、目的の部分(腫瘍)に放射性医薬品が定着したところで、画像診断を行う。これがアイソトープ検査です。

画像診断は、注射から6時間後と24時間後の二回行いました。ですので、まずは薬剤を注射しただけで病室に帰ります。

約6時間が経過した17時ごろ、再び検査室に行きます。この検査はけっこう時間がかかりました。検査用ベッドに40分ほど横になっていたと記憶しています。

24時間分のオシッコを溜める「畜尿」

他にも畜尿という検査が行われました。オシッコの検査です。

オシッコの検査というと、紙コップに尿を採って窓口に提出するアレは、みなさんも経験があるでしょう。私が受けた畜尿とは、そうした一回限りのものではなく、24時間分のオシッコを溜めます。その中に、特定の物質がどのくらい含まれているかを調べるのです。

私は知らなかったのですが、この畜尿、実は前日(入院2日目)の午後から開始されており、本日(入院3日目)の午後までとなっていました。

前日にHCUで私が出したオシッコは容器に溜められており、それが病室備え付けのトイレに運び込まれました。オシッコも、HCUから一般病棟にお引っ越ししてきたわけです。看護師から、「○時までのオシッコは尿瓶に出して、それを容器に移してください」と説明されました。

容器には、すでに前日からのオシッコがなみなみと溜まっており、尿瓶に出した分を移そうとしたら…あっヤバい、もう一杯になりそう。全部入るか? 入ってくれ! …入ったー、よかった(笑)

→次の話 【A病院・入院4日目】褐色細胞腫の疑いあり!